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すでにみたように「目標」は、いくらかは潜在能力の開発もふくむとはいえ、数値ではかられる業績の達成が主内容である。
その点では日本型能力主義管理も、ホワイトカラー部門を中心に実績主義をとり入れようとしているということができる。
この流れは次のようないくつかの賃金管理の動向にもあらわれている。
一つは、個人の業績がかなり明瞭に把握できる管理職、営業職、研究職などへの年俸制の導入である。
最新の情報では、ここでも朝日新聞社が96年5月に実施した一部上場279社調査の報告するところ、企業の24%がすでに年俸制を導入しており、19%が「導入を検討」しているという。
もっともこの数値自体は、広い意味で「個人の能力、業績を反映させる給与制度を年俸制とみなす」企業も多いゆえに、さして変革的な動向を示しているとは思えない。
「洗い替え職能給×業績反映型ボーナス」を「日本型年俸制」とする見方もある(日経連1995)。
また年俸制の適用職域も、いまのところ多くの企業では、上級管理職から課長クラスにかぎられている。
研究職や契約社員に適用している企業も4%ほどにすぎない。
にもかかわらず、いくら稼いだか、数値でみてどれほど企業に貢献したかによって支払うことを原則とする年俸制の導入は、条件によっては年齢・勤続に横すべりしかねない「潜在能力」に対して支払うシステムに、修正を加えようとする動向の波頭ではある。
いま一つは、賃金に占める賞与の比率拡大、その賞与の決定における業績評価のいっそうの重視である。
さらにもう一つは、前二者を包む総括的な措置としての、定期昇給ストップを頂点とする昇給における年齢・勤続要素の抑圧である。
個別企業レベルでの具体的な措置、それによる賃金格差の拡大などについては次にゆずり、ここでは企業に対する最近のアンケート調査の結果だけをあげておこう。
関西経営者協会による会員企業への調査では、32%が定期昇給とベースアップの双方を廃止したいと答えた。
また日本人事行政研究所の調査(95年10月、東証一部上場380社)によれば、企業の39%がこの2年間に「従業員個人の成績や業績」にもとづいて「賃金の上下格差を拡大」させた。
賃金格差が拡大した層は、46%の企業で40代後半であった。
それから「職務給や職能給のウェイトを高めた」企業は64%にのぼっている。
『新時代の「日本的経営」』とはいえ、こうした賃金管理の新しい動向も、日本型能力主義の第3期がついに打ち出したところの、雇用制度の変革をふくむ、より包括的でより長期的な人事・労務政策の見直しの一部にすぎない。
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